中小企業投資促進税制|適用を受けるための解説です

 

カズカズ

今回の設備投資、結構お金かかったなー

ゼンコウゼンコウ

カズ、その設備投資、税制優遇の対象だよ!

カズカズ

何だって!

ゼンコウゼンコウ

中小企業投資促進税制の適用案内人、わたくしゼンコウが、この税制をを受けられる中小企業や個人事業主の方たち向けに、わかりやすく解説していきます。それでは、いってらっしゃい。

はじめに

生産性を高めるような設備投資を応援

 中小企業庁など行政では、中小企業をサポートする制度を整備しています。そのひとつとして「中小企業投資促進税制」があります。対象は資本金が1億円以下の中小企業や個人事業主です。投資促進税制の内容は、設備投資を行う中小企業に対して、要件を満たすことで法人税や所得税から特別償却や税額控除する制度になってます。

 今回の記事は、これから中小企業投資促進税制を受けられる、中小企業や個人事業主のかた向けにわかりやすく解説していきます。

中小企業投資促進税制(21ページ)  

制度の概要

投資促進税制 30%特別償却

 

本制度は、一定の機械装置等の対象設備を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却(注1)又は7%の税額控除(注2)が選択適用(税額控除は資本金3,000万円以下の法人、個人事業主のみ)できるものです。

 

  • (注1)特別償却は、限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます。
  • (注2)税額控除は、その事業年度の法人税額又は所得税額の20%までが上限となります。なお、税額控除限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができます。

 

 

解説

 

中小企業投資促進税制は、経営強化税制と違い経営力向上計画の認定や工業会証明書などが不要な税制です。事業年度末までに対象の設備を取得し、指定事業に使用し、税務申告のさい必要書類を添付することで適用を受けることができる税制です。

対象の設備は5種。機械装置/160万円以上(1台)、測定工具・検査工具/120万円以上(合計)、ソフトウェア/70万円以上(合計)、普通貨物自動車/車両総重量3.5t以上、内航船舶となっています。

税制優遇は以下の通りです。

  • 資本金3000万円以下の中小企業/個人事業主は、30%の特別償却又は7%の税額控除が選択できます。
  • 資本金3000万円超、1億円以下の中小企業は、30%の特別償却のみ利用できます。

中小企業投資促進税制の適用を受けるため、これから5つのStepで解説していきます。

 

 

 

〜Step5で税制優遇〜

Step1.中小企業者等に該当しているか

 適用対象者 

青色申告書を提出する「中小企業者等」に該当するもの。

対象となる中小企業者等(中小企業/個人事業主)

中小企業者等とは

  • 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人。
  • 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人。
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人。
  • 協同組合等(中小企業等協同組合、出資組合である商工組合等※)。

ただし、次の法人は、資本金の額又は出資金の額が1億円以下でも本税制措置の対象とはなりません。

  1. 同一の大規模法人(注)から2分の1以上の出資を受ける法人。
  2. 2以上の大規模法人(注)から3分の2以上の出資を受ける法人。
  3. 前3事業年度の所得金額の平均額等が15億円を超える法人 。

    (注) 大規模法人とは、資本金の額又は出資金の額が1億円超の法人、資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する 従業員数が1,000人超の法人又は大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人等をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

    ※協同組合等に含まれる組合は、農業協同組合、農業協同組合連合会、中小企業等協同組合、出資組合である商工会及び商工組合連合会、内航海運組合、内航海運組合連合会、出資組合である生活衛生同業組合、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、森林組合、森林組合連合会並びに 商店街振興組合に限ります。

     

     

    解説

     

     資本金1億円以上の大規模法人等でなければ、資本金1億円以下で常時使用する従業員が1,000人以下の法人または個人事業主が対象です。

     

     

    Step2.事業年度末までに設備を取得し指定事業に使用する

     適用期間 

    令和5年3月31日までに、対象設備を取得等して指定事業の用に供すること。

     

    解説

     

     対象設備を取得した年度の、事業年度末までに指定事業に使用すること。

     

    • 取得とは… 機械等の所有権を得たこと、つまり機械等を購入等をしたこと(請負契約に基づく建物については、一般的には引渡しを受けたこと)を指します。例えば、検収が終わっていない設備については、引き渡しが済んでいないことから一般的に未取得の状態と考えられます。個別ケースにおいて判断に迷われる場合は、所轄の税務署までご確認ください。
    • 事業供用とは… 業種・業態・その資産の構成及び使用の状況を総合的に勘案して判断されますが、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至ったことを指します。例えば、機械等を購入した場合は、機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、その機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日となります。個別ケースにおいて判断に迷われる場合は、所轄の税務署までご確認ください。

     

     

    Step3.一定の設備を新規取得

     対象設備 

    中小企業投資促進税制 対象設備

    • (注1) 中古品、貸付の用に供する設備は対象外です。
    • (注2) 匿名組合契約その他これに類する一定の契約の目的である事業の用に供する設備は対象外です。
    • (注3) 普通貨物自動車は、道路運送車両法施行規則別表第一に規定する普通自動車で、貨物の運送の用に供するものが対象です。
    • (注4) 取得価額の75%が対象となります。

    引用:中小企業税制<令和3年度版>21ページ

    《補足》

    • 測定工具・検査工具…事業年度内で1台が120万円以上か、1台が30万円以上かつ複数合計が120万円以上。
    • ソフトウェア…事業年度内で一つが70万円以上か、複数合計が70万円以上。

    中小企業投資促進税制 対象の設備

    国税庁の耐用年数表で確認

     

    解説

     

     税法上の資産区分が対象設備に該当するかは事業者が判定する。また、新品設備で対象金額をみたすこと。中古資産(中古品)や貸付資産(誰かに貸すもの)は対象外。レンタル業や不動産業では、自社利用100%の設備は対象だが、他者にレンタルするもの、貸すもの(賃貸物件の設備)は対象外となる。パソコンや複合機も対象外。Q&Aはこちら

    • 太陽光発電… 売電に関して経営強化税制のような2分の1制限はありませんが、指定事業で電気業は対象になっていませんので、100%の売電は対象外、少しでも自社のために電気を使えば対象になるということ。
    • ソフトウェア… 複写して販売するための原本、開発研究用は対象外。また①サーバー用オペレーティングシステム、②サーバー用仮想化ソフトウェア、③データベース管理ソフトウェア、④連携ソフトウェア、⑤不正アクセス防御ソフトウェアも対象外。ただし①〜⑤は国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)の評価・認証があるものは対象になる。これらに該当しないのであれば、一つが70万円以上か複数合計70万円以上のソフトウェアであれば対象になる。詳細は中小企業税制<令和3年度版>22ページ。該当するかどうかわからなければメーカーで確認してみてください。
    • 普通貨物自動車… 道路運送車両法施行規則別表第一に規定する普通自動車で、貨物の運送に使用するものが対象。下記、国税庁HPに記載されている2つの記事で判断ください。
    •  リースの扱いについて(ファイナンス・リース)。詳細はQ&A(共−12)中小企業経営強化税制に関するQ&A集(中促も同様)
      • 所有権移転リースの場合…対象(30%特別償却、7%税額控除)。
      • 所有権移転外リースの場合…7%税額控除のみ対象。
      • オペレーティングリースの場合…対象外。
      • 補足:割賦払いも対象になる。

     

     

     

     

    Step4.指定事業に該当しているか

     指定事業 

    製造業、建設業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、不動産業、物品賃貸業、サービス業(他に分類されないもの)、農業、林業、漁業、水産養殖業

    (注)電気業、映画業以外の娯楽業等は対象になりません。また、風俗営業法上の性風俗関連特殊営業に該当する事業についても、対象となりません。

    引用:中小企業税制<令和3年度版>21ページ

     

    解説

     

     ここに記載されている指定事業(業種)が経営強化税制の対象の指定事業です。娯楽業は映画業のみが対象。何業になるのか?大分類等はこちらで検索し確認してください→ 日本標準産業分類

     

     

     

    Step.税務申告

     適用手続 

    <個人事業主の場合>

    • 特別償却の場合、青色申告決算書の「減価償却の計算」の「㋬割増(特別)償却費」の欄に特別償却の額を、「摘要」の欄に特例名(措法10条の3)を記入すること。
    • 税額控除の場合、「中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を確定申告書に添付すること。

    <法人の場合>

    • 特別償却の場合、法人税の確定申告書に「特別償却の付表」(中小企業者等又は中小連結法人が取得した機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表)と適用額明細書を添付すること。
    • 税額控除の場合、法人税の確定申告書に「別表」(中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書)と適用額明細書を添付すること。

    引用:中小企業税制<令和3年度版>22ページ

     

    解説

     

    中小企業投資促進税制は、経営強化税制と違い、証明書取得や認定が必要ありません。Stet1〜Step4の要件を満たした上で、Step5税務申告に上記該当箇所の書類を添付することで適用を受けることができます。

     

     

    ゼンコウゼンコウ

    おつかれさま

    カズカズ

    税制優遇って、知らないと損するな。助かったよゼンコウ!

    ゼンコウゼンコウ

    そうだね。カズは税制とか補助金のこと、あまり詳しくないようだから、また機会があれば説明するよ!あははは! ちなみに経済産業省のミラサポPlusというサイトがあるんだけど、補助金や税制のことがたくさん掲載されてるから時間あれば探してみて。それでは中小企業投資促進税制の適用案内人ゼンコウでした。

    ミワミワ

    ムムム… ゼンコウ!なんかムカつく💢

     

    おしまい

    Thanks for watching